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先生の寝室には大きいウォークインクローゼットがあります。
そこには大き過ぎるほどの収納箇所と
その隙間を埋めようとする先生だけの洋服。
そして扉の裏側には…
綺麗な白いドレスと白のタキシードを着た2人が幸せそうに肩を並べて、笑顔で色んな人に祝福されている大判の写真があって。
そう、この写真は先生と元奥さんとの結婚式の写真。
今は別々の道を歩んでしまっている2人だけど
この時のこの写真に収められている瞬間の2人は幸せな気持ちでいっぱいだったんだろうね。
私には想像しかできない空間。
私は結婚式を挙げずに別れたし、まず身内だけの結婚式しか挙げるつもりが無かったから友人とか知り合いとかいっぱいの人に囲まれて祝福される。なんて望んでなかった。
だけどさ、あんな幸せそうな写真見ちゃったら羨ましくなっちゃうよね。
私は一生味わえない幸福感なんだろうなって思っちゃって。
「しあわせ」
なんて自分の中の計りで測るものだから、比べるものじゃないし、自分自身が幸せならそれで良いじゃんかね。
なのにこの醜い感情が出てきてしまうのは他人と比べてしまうから。
捨ててほしいとか、しまってほしいとか
そんな訳じゃないんだけど
でもやっぱり思い知らされるんだよね。
まだまだ元奥さんには勝てないって事を。